地球サミット(国連環境開発会議)伝説のスピーチ①                      1992年ブラジル・リオ

2015年10月17日 15:39

  

ニホンジカが増えて高山植物が食べられ、トリカブトが斜面に広がる:聖平

 

 ニホンオオカミは、明治38年に奈良県東吉野村での確認を最後に絶滅した。

  生態系の頂点が消えてバランスが崩れ、増えたシカの食害で山野は荒れている

  

 11年前の2010年(平22)10月、名古屋で生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)が開催された。その初日NHKが会場前から、メインパーソナリティ藤原紀香、総合司会・松本和也で7時間のナマ中継を行った。

  

   開始にあたってNHKのブースから、生物が絶滅する速度のグラフについて、「恐竜の絶滅時代を含めてあまり変化はなかったが、20世紀中頃から急激に上昇した。今では1年間で4万種の生物がこの地球から消え去っている」との説明があった。


   続いてピラミッドが崩れる話:生物(動植物など)の名前を書いた沢山の積み木でピラミッドが作られ、その頂上に ヒト と書いた積み木が置かれた。幾つかの積み木(生物)が取り外されるとガラガラとピラミッドは崩れ、頂上にあった ヒト は一番遠くに飛ばされていった。
 

   私たちは衣食住の生きる全てを、生物と地球の恵みに頼らなくては生きていけない。人間にとって生物多様性がどれほど大切なものかを教えてくれるものであった。[人間の命を救う薬は、植物と地球の大地にある。]


                                                

甲斐駒ケ岳黒戸尾根  サルオガセ(地衣類)       聖岳聖平  トリカブトが群生
 種によっては食用、香料、環境汚染指標になる  全草が毒, 母根は烏頭という生薬     

  

 午後のゲストに、日系3世カナダ人のデヴィット・スズキという、自然と人間の関りを扱うドキュメンタリー番組のキャスターを31年間務めている生物学者が紹介された。彼は、「人間は3千万種の生き物の一種なのに、なぜこの星の全てを独り占めにするのか」と、その番組で語っていた。

 

 1982年、森林伐採によって原生林の貴重な生態系が消滅の危機にあったとき、カナダの先住民族ハイダの人と共に伐採を阻止する運動に参加し、デヴィットさんのレポートによってその森が守られ、今は国立自然保護区に指定されている。その後も生物多様性、野生生物、環境の保護について先住民族の知恵に学びながら、自然との繋がりの大切さを訴え続けている。
 

 さて、遡ること29年前、1992年(平4)6月に地球サミットがブラジルのリオデジャネイロで開かれた。172ヶ国の政府代表・国際機関・NGOが参加した当時史上最大のサミットで、地球環境保護の原則、「リオ宣言」・「行動プログラム」、「気候変動枠組み条約」、「生物多様性条約」や「森林原則声明」などが採択・署名された。(1997年の地球温暖化防止・京都会議、2010年の国際地球生きもの会議はこれらに基づいた国際会議)
 

* * 実はこの会議で、当時12歳の少女が「地球環境を壊し続けるのはもうやめて・・・」と世界の首脳たちにむけてスピーチをした。それは各国のマスコミを通じて、おそらく世界中に発信されたことだろう。その少女の名はセヴァン・スズキ。さきほどのカナダから招かれた生物学者デヴィットさんの長女だった。
* リオの会議参加者を約7分間沈黙させた伝説のスピーチを後日②で紹介します。


            


* デヴィットさんは、「バンクーバで生まれ、7歳のとき戦争が始まり、自分たちはロッキー山脈に設けられた日本人収容所に移された。しかし魚やマツタケなど自然の恵みをとり、クマやオオカミ、ムース(ヘラジカ)などに出会うことを通して自然が好きになり、毎日が天国だった。」と語った、そのような原体験を持つ人であった。