地球サミット(国連環境開発会議)伝説のスピーチ②               1992年ブラジル・リオ

2015年10月16日 15:09

 

  ー  当時史上最大規模の地球サミットで
     世界の首脳を前に12歳の少女が地球環境の危機を訴えた ー


『 こんにちは、セバン・スズキです。エコ(子供環境運動)を代表してお話します。私たちは12才、13才、の子供たちの集まりで今の世界を変えるために頑張っています。大人の皆さんに大切なお願いをするために、自分たちでお金をためてカナダからブラジルまでやってきました。


 


   今日の私の話には裏も表もありません。私たちの未来をかけてお話しています。未来を失うことは選挙で負けたり、株で損をすることとは違うのです。私がここに立って話をしているのは、未来に生きる子供たちのためです。世界中の飢えに苦しむ子供たちのためです。そして今にも死に絶えようとしている無数の動物たちのためです。

  太陽に当たるのが私は怖い、オゾン層に穴があいたから。息をすることさえ怖い、空気に毒が入っているかもしれないから。幼いころ父とよくバンクーバーで釣りをしました。数年前、体中がガンで侵された魚にであうまでは。そして今、動物や植物たちが毎日のように絶滅していくのを私たちは耳にします。
 

 でも私たちには夢があります。野性の動物や沢山の鳥やチョウが舞うジャングルを見ることです。でも私の子供たちの世代は、もうそんな夢さえ持てないのではないでしょうか。皆さんは私くらいの子供のとき、そんな心配をしたことがありましたか?。こんな大変なことがものすごいスピードで起きているのに、私たち人間は相変わらずのんきな顔をしています。

 

 私はまだ子供なので、この危機を救うのにどうしたらいいかわかりません。でも、誰もよい解決方法なんて持っていないのです。オゾン層に開いた穴をどうやってふさぐのか、あなたは知らないでしょう。死んだ川にどうやってサケを呼び戻すのか。絶滅した動物をどうやって生き返らせるのか。砂漠にどうやって森を蘇らせるのか、あなたは知らないでしょう。


どうやって直すのか分からないものを、壊し続けるのはもうやめてください。

  

  あなたは政府や企業の代表でしょう。テレビや新聞の人かもしれない。でも本当は誰かの父親であり母親です。兄弟であり、姉妹なんです。私はまだ子供ですが、この地球が50億以上の人間と、3千万種の生物からなる大家族であることを知っています。どんな国境や法律もこの事実を変えることはできません。私はまだ子供ですが、みんなが大家族の一員として行動しなければならないことを知っています。


 

   

 私は怒っています。でも自分を見失ってはいません。 私は怖い、でも自分の気持ちを世界中に伝えることを恐れません。私の国での無駄使いは大変なものです。買っては捨て、また買っては捨て。北の国は使うばかりで、南の国々と分かちあおうとはしません。自分の富をほんの少しでも手放すのが怖いのです。カナダの私たちは恵まれた生活をしています。時計、コンピュータ、テレビ、数えきれないほどです。家にあるものを数えたら何日もかかるでしょう。

 

  二日前にここで、家のない子供たちに出会いショックを受けました。一人の子供が私たちに言いました。「もし僕が金持ちだったら、家のない子たちに食べ物と衣服と薬と、住む所と優しさと愛をあげるのに」。何も持たない一人の子供が、分かち合うことを考えているのに。全てを持っている私たちがどうしてこんなにも欲深いのでしょう。彼らが私と同じくらいの年だということが頭から離れません。

 

  どこに生まれたかによってこんなにも人生が違ってしまう。私がストリートチルドレンの一人だったかもしれないんです。ソマリアで飢えに苦しんでいたり、中東の戦争で犠牲になったり、インドで物乞いをしていたかも知れない。もし戦争のために使われるお金を貧しさと環境のために使えば、この地球は素晴らしい星になるでしょう。私はまだ子供ですがこのことを知っています。


      

   

 大人は学校や幼稚園で、私たちに世の中のルールを教えてくれます。争いをしないこと、話し合いで解決すること、人を敬うこと、傷つけないこと、散らかしたら自分で片付けること、欲張らず分かちあうこと。それなのに何故大人たちは、私たちに「いけない」ということをしているのですか。皆さんが誰のために話合っているのか思い出してください。未来の世代つまり私たちのためです。

 

 このような会議で決まったことが私たちの未来を左右するのです。親たちは子供にこう言って励まします。「大丈夫きっとうまくいく。できるだけの事はしているから」。けれど今の地球の状況にこんな言葉は使えないはずです。私たち子供の未来を真剣に考えていますか。

 

 父は私に「何を言うかではなく何をするかが大事」と教えます。大人がやっていることのせいで、私たちは泣いています。大人はいつも私たちを、愛していると言います。もしその言葉が本当なら行動で示してください。         

                                                     ありがとうございました。 』
 
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★ 生物種の絶滅について、1975年までは1年間に1種だったが、1975年以降は年間に4万種が絶滅しているとのこと(環境省、種の絶滅速度)。 また世界の人口は1804年には10億人で、約200年後の2011年には70億人と7倍にも増加した。この間、急激な増加は1950年から始まったという(「世界人口白書2011」日本語版)。
どういうことなのか、世界の人口が急増したことに合わせるかのように、生物種の絶滅数が急上昇している。? 生物が消えていく生物多様性崩壊の原因は幾つかあげれれるが、そのトップは生息場所、生息環境の破壊で、それが人の増加によって引き起こされていることは、双方の数値の変化が符合するとおり、周知の事実なのだ。